現在大手キャリアとスマホの契約をしている方のなかには、周囲に格安SIMのユーザーが増えてきて、興味を持ち始めたという方も多いはず。
しかし、大手キャリアと格安SIMでは、何が違うのか分からないという方もいるでしょう。
そこで今回はそんな方のために、格安SIMがどんなもので、大手キャリアと何が違うのかについて解説。
キャリアと比べた格安SIMのメリットやデメリットから、どんなタイプの人に向いているかまでを紹介していきます。
この記事を読めば、格安SIMの魅力や、自分に合っているかどうかが分かるので、ぜひ最後までチェックしていってください。
Contents
そもそも格安SIMとは!?
格安SIMを利用すれば、月々のスマホ代をグッと安くできます。
大手キャリアは、スマホの月額料金が高額です。
この理由は、ドコモ回線やau回線など、各キャリアがネット通信をするための回線を提供しているから。
契約者に回線を提供するため、各キャリアでは基地局(電波塔)を多数設置しており、設備投資に多額の費用がかかっています。
大手キャリアのスマホ料金には、この設備費用の一部も乗せられているのです。
その点、格安SIM事業者は、大手キャリアから回線の一部を借り、それを契約者に提供しています。
格安SIM事業者は基地局を持つ必要がなく、設備費用がかからないぶん、契約者にサービスを安く提供できるのです。
格安SIMと大手キャリアの違い
格安SIMと大手キャリアには、主に以下の違いがあります。
格安SIM | 大手キャリア | |
スマホ料金 | 安い | 高い |
契約の縛り | 緩いorなし | きつい |
通信速度 | 遅い | 速い |
時間無制限のかけ放題 | なし | あり |
キャリア決済 | 不可 | 可 |
キャリアメールの使用 | 不可 | 可 |
ショップの数 | 少ない | 多い |
LINEのID検索 | 不可(一部は可) | 可 |
このように、格安SIMには大手キャリアより優れている面もあれば、劣っている面もあります。
では次から、大手キャリアに比べた格安SIMのメリットとデメリットについて、詳しく説明していきましょう。
大手キャリアに比べた格安SIMの2つのメリット
大手キャリアに比べた格安SIMのメリットは、以下の2点です。
- スマホ料金が安い
- 契約の縛りが緩い
ここでは、これらの点について、一つずつ説明していきましょう。
1.スマホ料金が安い
ここでは、大手キャリア3社と格安SIM事業者の1つである「LINEモバイル」のスマホ料金を比較してみましょう。
それぞれの月間データ通信量ごとの月額料金の比較表は、以下のとおりです。
ドコモ | au | ソフトバンク | LINEモバイル | ||
データSIM (SMS付き) |
音声通話SIM | ||||
~1GB | 2,980円 | 2,980円 | 2,980円 | 620円 | 1,200円 |
~2GB | ー | ー | 4,980円 | ー | ー |
~3GB | 3,980円 | ー | ー | 1,100円 | 1,690円 |
~4GB | ー | 4,480円 | ー | ー | ー |
~5GB | 4,980円 | ー | ー | 1,640円 | 2,220円 |
~7GB | 5,980円 | 5,480円 | ー | 2,300円 | 2,880円 |
~10GB | ー | ー | ー | 2,640円 | 3,220円 |
※1:このほか、ドコモには「30GB」、auには「20GB」「25GB」「無制限」、ソフトバンクには「50GB」のプランあり
※2:表に記載のソフトバンクの月額料金は、契約1年目のもの。2年目以降は+1,000円
このように比較すると、大手キャリアに比べて、いかにLINEモバイルの月額料金が安いかが分かるでしょう。
LINEモバイルの「データSIM」は、インターネットができるプラン。
「音声通話SIM」はインターネットに加えて、通話もできるプランです。
データSIMで契約しても、「楽天でんわ」などの通話アプリを使えば、問題なく通話が可能。
1GBのプランで契約する場合、LINEモバイルのデータSIMプランを選べば、大手キャリアに比べて毎月2,360円、年間で28,320円もの節約になります。
もちろんLINEモバイルだけでなく、他の格安SIM事業者も大手キャリアに比べて、月々のスマホ料金がずっとお得です。
関連記事:格安SIMシェア率が高いのはどの会社?人気10選と特徴を解説
2.契約の縛りが緩い
契約の縛りが緩いのも、格安SIMのメリットです。
大手キャリアでは基本的に、2年契約の自動更新となっています。
契約満了月とその翌月、翌々月以外に解約した場合は、解約金の支払いが必要です。
その点、格安SIMでは基本的に、最低利用期間さえ経過すれば解約手数料はかかりません。
大手キャリアに比べた格安SIMの6つのデメリット
ここまで、大手キャリアに比べた格安SIMのメリットについて説明してきました。
しかし格安SIMには、大手キャリアと比べて劣っている点もあります。
大手キャリアに比べた格安SIMのデメリットは、以下の6点です。
- 通信速度が遅い
- 時間無制限のかけ放題オプションがない
- キャリア決済が利用できない
- キャリアメールが使用できない
- ショップが少ない
- LINEでID検索ができない
ここでは、これらのデメリットについて説明していきます。
1.通信速度が遅い
大手キャリアでも格安SIMでも、契約者は各事業者が提供する回線をみんなで分け合って使う形です。
回線が広いほど混雑は起こりにくいため、通信速度は速くなります。
この点は、回線を道路に、契約者を車に、車の速度を通信速度にたとえると分かりやすいでしょう。
大手キャリアは道路(回線)が広いため、車(契約者)が多くても混雑しにくく、高速で走行(通信速度)できます。
その点、格安SIMは大手キャリアの回線の一部を借りているにすぎません。
そのため、道路(回線)が狭く、車(契約者)が増えると混雑して、低速(通信速度)でしか走れなくなってしまうのです。
では、大手キャリア回線と格安SIM事業者の回線では、どれくらい通信速度が違うのでしょうか?
以下は同じ条件のもと、ソフトバンク回線と格安SIM事業者である「DMMモバイル」の回線、それぞれの速度を測定したものです。
ソフトバンク | |
DMMモバイル |
画像の「ダウンロード」は「下り」、「アップロード」は「上り」の速度を意味します。
下り速度はウェブサイトの閲覧や動画の視聴など、データを受信するときの速度。
上り速度はメールやLINEの送信など、データの送信の速度です。
画像を見比べると、下り速度と上り速度ともに、ソフトバンク回線の方がずっと速いことが分かります。
2.時間無制限のかけ放題オプションがない
大手キャリアにはそれぞれ、以下の「かけ放題オプション」があります。
オプション名 | 月額料金 | |
ドコモ | かけ放題オプション | 1,700円 |
au | 通話定額 | 1,700円 |
ソフトバンク | 定額オプション | 1,500円 |
これらはいずれも、加入することで、国内での通話料金が24時間無料になるオプションです。
一方で格安SIMには、「10分電話かけ放題」などの時間制限付きのオプションはあるものの、時間無制限のオプションはありません。
ただしLINEやSkypeでは、通話の際にデータ通信量を消費するので、自宅にWi-Fi環境があることは必須だと言えます。
3.キャリア決済が利用できない
大手キャリアと契約すれば、それぞれ以下の「キャリア決済」が利用できます。
ドコモ | ドコモ払い |
au | au かんたん決済 |
ソフトバンク | ソフトバンクまとめて支払い |
キャリア決済とは、各キャリアのIDやパスワードを利用して、商品やサービスの支払いができるサービスです。
キャリア決済した料金は、携帯料金と合算して請求されます。
一方で格安SIMには、このようなキャリア決済のサービスはありません。
4.キャリアメールが使用できない
大手キャリアと契約すれば、「キャリアメール」が利用できます。
キャリアメールとは、「~@docomo.ne.jp」といったアドレスを使用した、各キャリアが提供するメールサービスです。
キャリアメールは、キャリアと契約していないと使用できません。
そのため、格安SIMに乗り換えると、キャリアメールは使えなくなってしまうのです。
ただし格安SIM事業者のなかには、キャリアメールに似たメールサービスを提供しているところもあります。
また、Yahoo!メールやGMailなどのフリーメールを使うのも有効な方法です。
関連記事:格安SIMでメールアドレスを使うには?無料で使える方法を徹底解説
5.ショップが少ない
大手キャリアは、全国各地に「ドコモショップ」「auショップ」「ソフトバンクショップ」といった実店舗を多数構えています。
困ったことや分からないことがあれば、ショップに行ってスタッフに相談することで問題を解決可能です。
その点、格安SIM事業者は実店舗がないところも多くなっています。
6.LINEでID検索ができない
格安SIMでもLINEが利用できますが、友だち追加をする際、「ID検索」ができなくなっています。
ID検索とは、LINEのユーザーのIDを検索することで、友だちを追加する方法です。
青少年を出会い系サイトなどから保護する目的で、ID検索は18歳以上しか利用できないよう制限されています。
ID検索を利用するには、年齢認証をしなければなりません。
大手キャリアの場合、契約は実店舗でするため、年齢確認は容易です。
しかしオンラインでの契約が主流の格安SIMでは、年齢確認ができません。
そのため、基本的に格安SIMでは、LINEでのID検索ができなくなっているのです。
関連記事:格安SIMでもLINEは使える?アカウント引継ぎやID検索の方法
格安SIMに向いている人の特徴・4タイプ
ここまで、大手キャリアに比べた格安SIMのメリットとデメリットについて説明してきました。
では、格安SIMと大手キャリア、それぞれに向いているのはどんなタイプの人なのでしょうか?
大手キャリアより格安SIMに向いていると言えるのは、以下の4タイプです。
- 月々のスマホ料金を安くしたい
- 契約期間に縛られたくない
- クレジットカードを持っている
- あまり電話をかけない
ここでは、それぞれの理由について説明していきます。
1.月々のスマホ料金を安くしたい
月間のデータ通信量が同じでも、格安SIMと大手キャリアでは月額料金が大きく異なります。
月間のデータ通信量が少ないプランほど、この傾向は顕著です。
ただし月間30GBや50GBなどの大容量プランでは、キャリアより月額料金が高くなっている格安SIM事業者もあるので注意しましょう。
2.契約期間に縛られたくない
大手キャリアでは基本的に、2年契約の自動更新となっています。
契約満了月とその翌月、翌々月以外に解約した場合は、解約金の支払いが必要です。
その点、格安SIMなら、12か月などの最低利用期間が経過すれば、いつ解約しても解約金はかかりません。
3.クレジットカードを持っている
クレジットカードを持っている人は、格安SIMに向いていると言えるでしょう。
なぜならクレジットカードがあれば、キャリア決済を利用する必要がないからです。
クレジットカード払いがOKでキャリア決済がNGのサービスはあっても、その逆はほとんどないと言っていいでしょう。
4.あまり電話をかけない
大手キャリアには時間無制限のかけ放題プランがありますが、格安SIMにはありません。
そのため、電話をよくかける人が格安SIMと契約すると、通話料金が高くなりがち。
しかし、電話を自分から電話をかけることが少ないなら、この点は心配ありません。
大手キャリアに向いている人の特徴・5タイプ
格安SIMに続けて、大手キャリアに向いているタイプについて紹介していきましょう。
大手キャリアに向いていると言えるのは、以下の5タイプです。
- 電話をよくかける
- キャリアメールを利用したい
- クレジットカードを持っていない
- スマホにあまり詳しくない
- 格安SIMへの乗り換えが面倒
ここでは、それぞれの理由について説明していきます。
1.電話をよくかける
大手キャリアには、時間無制限のかけ放題オプションがあります。
このオプションに加入すれば、いくら通話をしても通話料金は一定です。
そのため、電話をよくかけるという人は大手キャリア向きだと言えるでしょう。
ただし、自宅にWi-Fi環境があるか、ポケットWi-Fiと契約している場合は、話が別です。
2.キャリアメールを利用したい
キャリアメールを利用したいという人も、大手キャリアに向いています。
ただし、キャリアメールを残したまま、格安SIMに乗り換えることも可能です。
この場合、ふつうにキャリアと契約するよりも、月々のスマホ料金がグッと安くなります。
興味のある人は、以下の記事をチェックしてみましょう。
関連記事:格安SIMでメールアドレスを使うには?無料で使える方法を徹底解説
3.クレジットカードを持っていない
オンラインサービスのなかには、クレジットカード払いの他に、キャリア決済に対応しているところも多くなっています。
クレジットカードを持っていなくても、キャリアと契約していれば、キャリア決済を利用してサービスに登録可能です。
逆に、クレジットカードを持っていない人がキャリアを解約してしまうと、登録できるサービスの数が減ってしまいます。
4.スマホにあまり詳しくない
格安SIMは大手キャリアに比べて、ショップの数が圧倒的に少なくなっています。
近くにショップがない場合、何か問題が起きても、自分で調べて解決しなければなりません。
そのため、スマホにあまり詳しくなく、自力で問題を解決できる自信がないという人には大手キャリアの方が安心です。
5.格安SIMへの乗り換えが面倒
格安SIMに乗り換えるには、自分で申し込みや設定をしなければなりません。
こうした手続きや設定が面倒だという人には、格安SIMは不向きだと言えるでしょう。
しかし、格安SIMへの乗り換えは、それほど手間のかかるものではありません。
申し込みや設定の方法が知りたいという人は、以下の記事をチェックしてみましょう。
関連記事:格安SIMの申し込みから設定まで!利用開始までの全手順を紹介
大手キャリアから格安SIMに乗り換える場合の3つの注意点
大手キャリアから格安SIMに乗り換える際には、以下3つの注意点もあります。
- 解約のタイミングによっては解約金がかかる
- 分割払いの場合はスマホの残債がかかる
- 今のスマホをそのまま使うにはSIMロック解除が必要
ここでは、これらの注意点について解説していきましょう。
1.解約のタイミングによっては解約金がかかる
大手キャリアには契約期間の縛りがあり、更新月以外に解約すると、解約金を支払わなければなりません。
残りの契約期間や解約金の額によっては、すぐに格安SIMに乗り換えない方がお得なケースもあります。
この場合、キャリアの更新月を待って格安SIMに乗り換えるのも一つの方法です。
2.分割払いの場合はスマホの残債がかかる
大手キャリアでは、スマホ本体の代金を分割で支払うケースが多くなっています。
この場合、キャリアを解約すれば、スマホの残債を支払わなければなりません。
とはいえ、格安SIMに乗り換えれば、毎月数千円の節約が見込めます。
そのため、遅かれ早かれ、残債の元を取るのは時間の問題です。
3.今のスマホをそのまま使うにはSIMロック解除が必要な場合も
大手キャリアから格安SIMに乗り換える場合、挿入されているSIMを挿し換えることで、現在使っているスマホをそのまま使用することも可能です。
キャリアのスマホには、他のキャリアのSIMを挿入しても利用できないよう、機能制限がかけられています。
この機能制限がSIMロックで、制限を解除することがSIMロック解除です。
格安SIMとは、自分のスマホにSIMロック解除が必要か、事前に確認してから契約しましょう。
SIMロック解除の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:SIMロック解除の方法は?格安SIMを使うための手順を徹底解説
まとめ
格安SIMと大手キャリアには、主に以下の違いがあります。
格安SIM | 大手キャリア | |
スマホ料金 | 安い | 高い |
契約の縛り | 緩いorなし | きつい |
通信速度 | やや遅い | 速い |
時間無制限のかけ放題 | なし | あり |
キャリア決済 | 不可 | 可 |
キャリアメールの使用 | 不可 | 可 |
ショップの数 | 少ない | 多い |
LINEのID検索 | 不可(一部は可) | 可 |
大手キャリアに比べた格安SIMのメリットは、なんと言っても月々のスマホ料金をグッと安くできること。
月間のデータ通信量が少ないプランなら、スマホ料金を大手キャリアの5分の1ちかくにすることも可能です。
格安SIMには時間無制限のかけ放題のプランはありませんが、自宅にWi-Fi環境があるなら、データ通信量を節約しながら、LINEやSkypeで無料通話することも可能。
その他のデメリットも、他の無料サービスを併用することで代用できるものがほとんどです。
スマホ料金の高さに悩んでいる人は、ぜひ格安SIMへの乗り換えを検討してみてはどうでしょうか。